コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

本魂

行く、行った、行ってしまった | ジェニー・エルペンベック(白水社)

ベルリンに辿り着いた難民たちと東ベルリン出身の元大学教授リヒャルトの交流を描いた作品。 メルケルの政策もあってドイツは比較的難民を受け入れる土壌のある国だと思っていたのだけど、大きな誤解だった。 行く、行った、行ってしまった (エクス・リブリ…

わたしに無害なひと | チェ・ウニョン(亜紀書房)

昨年の読みたい本リストに入れていて、図書館で見つけて借りてきた。 友人や家族との生活の中で韓国社会を告発するエピソードばかりだけど、日本で女として暮らす自分も他人事ではない感じで、一気に読んでしまった。 わたしに無害なひと (となりの国のもの…

アルタイの片隅で | 李娟(インターブックス)

1998~2003年頃の中国北西部の新疆ウイグル自治区での著者自身の暮らしを書いたエッセイ。 筆者の家族は、タイトルにある通り、都市ウルムチではなくアルタイの辺境に暮らす。 ここにはかねてよりカザフ族が遊牧生活を営んだ土地だけれど、文革時に南京から…

『ハングルへの旅』を読んだよ

茨木のり子がハングルを勉強してたと知ったのは、つい先日のこと。知ったときはとても驚いたし、著作に興味がわき、近所の本屋で偶然本書を見つけて買い求めた。 本書の刊行は1986年なので、もう35年も前のエッセイになるのだけど、語学を学ぶ姿勢の瑞々しさ…

『英語独習法』を読んだよ

英語につまずいていた自分の気持ちを鎮めることができた。私は私の目標を持ち、私のペースで頑張ればよいと思えた。 気になった個所、印象深い個所を抜粋するよ。 ■思い込みを飛び越えることは難しい 教えるが場がどんなにわかりやすく教える内容を提示して…

日記(1/3 - 1/4)

1/3 外出自粛で年末年始は駅前のスタバに行くのと近所のイオンに行く以外は大人しくしていたが、そごうの初売りには行くことにした。行ってみるとやはり人はそれほど多くなく、平日並みの人出。 例年であれば靴売り場でオフィスシューズを買うのだけれど、こ…

日記(6/30)

前回の日記から1カ月以上たってしまった……。まだ在宅勤務は続いている。 あしたから7月。2020年の後半戦。 6月に読み終えた本 マレー蘭印紀行 (中公文庫)作者:金子光晴発売日: 2012/12/19メディア: Kindle版 昨年マレーシアに行ってから、無性に読みたかった…

朗読者 | ベルンハルト・シュリンク(新潮社)

話題になったのはもう15年ほど前?はじめの方で読み捨てて長い事寝かせていた本を、最近また手に取って今度はちゃんと読み終えた。 とても頑なだけど根底に優しさのある作品で、この感動を伝えたいのにうまく伝えられそうにない。 朗読者 (新潮文庫)作者: ベ…

わたしを構成する9冊

「わたしを構成する9枚」ってタグが流行った時、ふーんって華麗にスルーしたんだけど、最近暇になったからか、聞いたアルバムじゃなくて、読んだ本の方でちょっと9冊やってみたくなった。 好きな9冊っていうか、「構成する」っていうのがちょっと癖あるなっ…

楽園のカンヴァス | 原田マハ(新潮社)

面白い小説ってはじめの数ページでわかるもんで、この小説ももう最初から面白い予感がひしひしとあって、時間を見つけて一気に読んだ。 楽園のカンヴァス作者: 原田マハ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/01メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 60…

熊の敷石 | 堀江敏幸(新潮社)

この一冊は何度か読んでるけど、いつも内容を忘れちゃう。思い出すために何度も手に取って、また忘れることの繰り返し。芥川賞をとった表題作はじめ、収められている三篇は実は私にはピンと来てない。それでも手放さないのは、堀江敏幸の作品だからかな。彼…

アヒルと鴨のコインロッカー | 伊坂幸太郎(創元推理文庫)

映画になったのは覚えてる。映画は結構話題になって、原作があるのを知ったのは少し後だった。アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/12/21メディア: 文庫購入: 25人 クリック: 310回この商品…

生きながら火に焼かれて | スアド(ソニー・マガジンズ)

この本の存在は知っていた。たぶん、2004年くらいに店頭にこの本が並び始めたときから。 でも、手に取ることはなかった。「名誉の殺人」の実際のところを知る勇気と、それを受け止める勇気が私にはなかったから。生きながら火に焼かれて作者: スアド,Souad,…

こうばしい日々 | 江國香織(新潮文庫)

本当に久しぶりにこの本を手に取った。再読するのは多分6、7年ぶりくらい。三度目。 こうばしい日々 (新潮文庫)作者: 江國香織出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1995/05/30メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (35件) を見る 初めて読んだ高校…

フルタイムライフ | 柴崎友香(河出文庫)

新入社員の10か月を淡々と描いた小説。 読み始めたときは、「あっやばい、つまらないかも」って思いがさりげなく頭をよぎったんだけど、読み進めてみればさすが柴崎友香、終盤は本の中に吸い込まれるようにして読んだ。 フルタイムライフ (河出文庫)作者: 柴…

本格小説 | 水村美苗(新潮社)

「嵐が丘」を読み終わってから、何としても「本格小説」を再読せねば、と思っていた。 数年ぶりに読み返したのだけれど、この本を読むと必ずこの小説の世界に引きずりこまれてしまって、読み終わってしばらくは放心状態になる。もう何度も読んでるのに読むた…

風と共に去りぬ | マーガレット・ミッチェル(新潮文庫)

昨年の年末から今年のお正月過ぎにかけて、一気に読み終えた「風と共に去りぬ」。 風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)作者: マーガレット・ミッチェル,Margaret Mitchell,大久保康雄,竹内道之助出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1977/06/03メディア: 文庫購入: 5…

嵐が丘 | エミリー・ブロンテ(新潮文庫)

「高慢と偏見」を読んでから私の中で古典に対する敷居が低くなったこともあり、長年読まねば読まねばと思いながら後回しにし続けてきた「嵐が丘」をやっと手に取った。我ながらいいタイミングだったと思う。結果として、私のこの作品に対する印象はあまり良…

私の読書の伴走者たち

今年は例年になく、本を読んだ年だった。 日本語に没頭すると今使っている外国語を忘れそうな気がして、年の前半は読書から離れていたけど、夏以降は我慢できなくなって何やかんやで月に2冊以上は読んでいた。 これまでと今年の読書生活が違ったのは、読んだ…

今年読んだ本ベスト3

今年は例年よりも沢山本を読めた。ここに記してない本もあるので、それも含めてまとめてみたい。 去年までこんなことしなかったけど、ここの記録が増えるにつれて、どんどん一つ一つの記憶が薄くなってるので、とりあえず今年分をまとめて総括したくなった。…

高慢と偏見 | ジェイン・オースティン(ちくま文庫)

昨日から読み始めて、一気に上下巻読み終えてしまった「高慢と偏見」。 昨日も書いたけど文句なく面白かった。 高慢と偏見(上) (ちくま文庫)作者: ジェイン・オースティン出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/08/02メディア: Kindle版この商品を含むブ…

まさか今更の「高慢と偏見」

何となく魔が刺して、ジェイン・オースティンの「高慢と偏見(上)」を昨日Aamazonで電子書籍で買ったのだった。 高慢と偏見(上) (ちくま文庫)作者: ジェイン・オースティン出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/08/02メディア: Kindle版この商品を含むブ…

カブールの燕たち | ヤスミナ・カドラ(早川書房)

アフガニスタン・カブールで生きるということ。 この作品はタリバンが支配していた時代の様子を肌で感じることができる。 そんなに厚くない本だから一気に読んだ。 追い詰められたときには、男よりも女が強い。 カブールの燕たち (ハヤカワepi ブック・プラ…

ウォール街の物理学者 | ジェイムズ・オーウェンウェザーオール(早川書房)

ここしばらくは小説を読んでたんだけど、振り戻しのように頭がノンフィクションとか理系関係を求めてたので、この本をセレクト。 ウォール街の物理学者作者: ジェイムズオーウェンウェザーオール出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/04/01メディア: Kindl…

パイロットの妻 | アニータ・シュリーヴ(新潮社)

墜落した飛行機の機長の妻の話。 物語が浮き上がるまでの助走が長くて、正直中盤までは退屈だったのだが、最後まで読み終えると不思議な後味がある。 最初は単なるラブ・ストーリーだと思ったのに、次第にミステリアスになりスリリングになり、最後はキャス…

きょうのできごと | 柴崎友香(河出文庫)

何でもない会話が連なって、そのときの空気や雰囲気がそのまま漂う。自分はそこにいないんだけど、不思議な同時性を体験できる小説。 大学卒業直後に読んでたらどうだったかなーと思いながら読み進めた。 時間が経ってから、当時の立ち位置や関係性を正確に…

夏子の冒険 | 三島由紀夫(角川文庫)

初・三島由紀夫。 夏子の冒険 (角川文庫 緑 212-6)作者: 三島由紀夫出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1960/04/10メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (9件) を見る 熊を追いかける男と女。彼らを取り巻く家族やら友人やら。 設定自体はシンプ…

今日の私

久しぶりにお腹の底から疼く曲。 歌詞はただやんちゃな感じなのに、サビの「Downtown」のところがぐっと泣ける。なんでだろ? 「Downtown」というサビを聞くたびに、体中のアドレナリンが放出される感じ。自分の感情も一緒に溢れ出されそうで、聞いてると座…

吉本ばなな自選選集3 Death | 吉本ばなな(新潮社)

図書館から借りてきて読んだんだけど、この本は日本の自宅にある本じゃないかなって読んでる途中で思った。 家にある本かどうかもわからなくなるくらい、久しぶりに手に取ったし、読んだ本だった。 吉本ばなな自選選集〈3〉Deathデス作者: 吉本ばなな出版社/…

神の棄てた裸体 | 石井光太(新潮文庫)

古本屋で何気なく買ったものの、気が乗らなくて全然読んでなかった一冊。 たまたま読み始めたら、はじめの章から面白くて、一気に読んでしまった。 神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く (新潮文庫)作者: 石井光太出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/04/24…