トイレット(2010年/日本 )
荻上直子監督の作品を観るのは何作目かと数えてみたらば、「バーバー吉野」「かもめ食堂」に続き、3作品目。
作品の中に漂う空気感は変わらないけど、作風がどんどん洗練されていきますね。
兄弟は、もたいまさこ演じるバーチャンを「バーチャン」と呼ぶ。この一言の心地よさ。
全編英語で出演者もほぼ現地の人だけど、意外にも外国映画と感じない。
日本の空気が底辺に漂っている不思議な作品。
火事で家を追い出されたレイは、モーリーやリサ、バーチャンと一緒に暮らし始めるが、言葉も文化も違うバーチャンとはもちろん、モーリーやリサとも意見・価値観の違いに戸惑い、衝突する。
家族とは結局他人だけれど、死んだ「ママ」は永遠で、4人とも「ママ」でつながっている。
それぞれが、ゆっくりと互いを受け入れていく過程が良かった。
他人を受け入れていくことは、臆することなく自分自身を受け入れていく過程でもある。
この映画で面白いと思ったのは、言葉が通じなくても、臆することなくバーチャンに英語で話しかける子供たち。
言葉と文化を超えたコミュニケーションを作品にした映画では「迷子の警察音楽隊」が思い浮かぶけれど、こちらもエジプト人とイスラエル人がお互いの言葉で会話していた。
言葉じゃなくて、互いを理解しようとする意志が眩しい。
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トイレット
2010年/日本
監督・脚本:荻上直子
出演:アレックス・ハウス、タチアナ・マズラニー、デビッド・レンドル、サチ・パーカー、もたいまさこ