コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

リトル・ダンサー(2000年/イギリス)

日本では2001年に公開されて、その年の話題作となった作品。
ダンス映画ということで少し敬遠してたんだけど、大ヒットとなった理由は観ればわかった。
10年も観ずにいた自分は勿体ないな。

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ビリーの家には強権的な父親と高圧的な兄、そして少し呆けた祖母。
イギリス映画で何度なく観た労働者階級の、暗くくすんだ家庭のパターン。
またか、と思いながら後半はいい意味で裏切られた。

たぶんビリーにとっては音楽が絡めばバレエでなくても良かったのだと思うのだけど、身近にあったのはバレエだった。
バレエのイロハも知らぬまま、性差も気にせずバレエ教室に通い続け、家でも必死に練習に励む。
衝動は抑えられない。理由はない。
バレエにのめり込んでいくビリーの姿に、こちらものめり込んでしまって画面から目が離せなかった。
とにかくビリーの顔がいい。

ビリーのバレエと同時進行で、炭鉱夫たちの激しいストライキも描かれる。
父親がビリーのバレエに反対するのは、バレエが女性的だから、だけではない。
仕事がないため、金がなく、余裕がない。それをビリーも理解している。

ビリーのバレエ学校受験は少し唐突な印象を受けけれど、人物描写が豊かなので、違和感をほとんど感じさせない。
ビリーにバレエを仕込むウィルキンソン、ビリーの父と兄、祖母、友人のマイケル。
みんなそれぞれ重荷を抱え込みながら、ビリーのバレエに光をみる。
ビリーのバレエに反対していた家族が結託していく過程には胸が震えた。

たぶん観る者誰しもの心を揺さぶるであろう作品。
傑作ですね。

リトル・ダンサー
2000年/イギリス
原題:Billy Elliot
監督:スティーブン・ダルドリー
出演:ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ