コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

屋根裏部屋のマリアたち(2010年/フランス)

主役ジャンを演じたファブリス・ルキーニは、「PARIS」や「しあわせの雨傘」でもおなじみ。
マリアはナタリア・ベルベケ。私は初めて見た女優。美人!
他にスペイン人家政婦仲間で、アルモドバル作品常連のカルメン・マウラやロラ・ドゥエニャスも顔を見せる。
キャストだけ見ても幸せだ!!

f:id:towaco:20100409143210j:plain

この作品を観ながら、つくづくパリの建築構造は測り知れないなーと思う。謎と不思議がいっぱい。
ジャンは高級アパートの5階(?)に住んでいるんだけど、その建物の6階にスペイン人家政婦たちが集って暮らしてる。
部屋の構造を見ていると、6階は屋根裏部屋の集合体のようで(屋根部分が6階にあたる)、天井が低くて狭い小部屋が並ぶ造りになってるみたい。
そしてなぜか、ジャンの家の台所から6階の家政婦部屋へ直通の階段があるという…。(たぶんほかの階の部屋にも繋がっているはず)
なぜ?家政婦たちが雇い家に入りやすいように? 日本のお家事情からは想像できない、このジャン家から直通で家政婦部屋へつながる不思議ルートが、作品中で重要な役割を果たす。

作品は、スペイン人家政婦たちとの交流をきっかけに、ジャンが自分自身を見つめなおし、自分を見つけるというスタンダードなストーリー。
マリアの美貌に心奪われて、ジャンがずぶずぶとスペイン人家政婦寄りになっていく様がすごい。
会議中も「こらこら」と思うほどの上の空で、頭はスペインのことでいっぱい。
そして、自分の部屋からつながる家政婦部屋を通じて、彼女たちの現実を知ってゆく。

異国で時に苦境に追い込まれるスペイン人の家政婦たちに、気が付けば善意まみれになったジャンが救いの手を次々に繰り出して、平凡なストーリーを面白くしている。
フランス人=恵まれている、スペイン人=出稼ぎ者、という軸に基づいた構図で、観客はジャン側で見てるから心地いい。
家政婦たちも飛びあがって喜ぶから尚更。
一種のメルヘンがここにある。メルヘンは与える側にいるというメルヘン。
でも、マリアたち側から見たらどうだろう?ふと冷静になると、少し考えちゃうお話かもね。

直前に観た「フランス、幸せのメソッド」と、家政婦つながりで否応なしに比べちゃう。 雇い主の性質は対照的で、2010年代が舞台の「フランス~」はフランス人が家政婦となる。 世知辛い世の中ですね。

屋根裏部屋のマリアたち [DVD]

屋根裏部屋のマリアたち [DVD]

屋根裏部屋のマリアたち
2010年/フランス
原題:Les Femmes du 6ème étage
監督:フィリップ・ル・ゲイ
出演:ファブリス・ルキーニ、サンドリーヌ・キベルラン、ナタリア・ベルベケ、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス