コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

サンダルで歩いたアフリカ大陸 | 高尾具成(岩波書店)

毎日新聞記者である高尾具成さんによるアフリカのルポ。
著者は2008年から2012年にかけて、毎日新聞社のアフリカ特派員だった。

率直に言うと、元朝日新聞社松本仁一さん、毎日新聞社の白戸圭一さんに比べると、何とも大味で物足りない。
あとがきで別の方にも著者は指摘されていたが、全体として著者自身のアフリカ取材に対する視点や目的がブレブレで、ルポを読んでいても、どこに軸足があるのかわからなかった。
取材の片手間に書いた訳ではなさそうで、帰国後に当時の取材ルポをまとめたもののよう。
それなら尚更もう少し俯瞰的に書けたような気がするんだけど…。

文章は新聞記者のそれなのに、いつ・どこで・何がが時々抜け落ちることがあって、読んでいて状況が把握しづらい。
主語がないくせに情緒的な状況描写をすることが多くて読みづらい。言い回しの重複もかなりある。

そもそもの取材動機が全くわからないパターンも多くて困惑した。
例えばHIVの取材はどうしてカメルーンだったの?
HIVの取材で入ったはずのカメルーンルポが後半は全く別の内容になるのはどうして? その国の状況やその国に立ち入った時に起こったことを流れるように書き連ねた、取材こぼれ話でもなく、旅の記録でもなく、ジャーナリズム的でもない、不思議なルポ。

ただ、本人の思い入れもかなり強かったであろうことが伺えるジンバブエの章は読みごたえがあった。
2013年現在の近況まで記されていて、読んでよかった一章。
この章と他の章の落差が勿体ない。

特派員ルポ サンダルで歩いたアフリカ大陸

特派員ルポ サンダルで歩いたアフリカ大陸