コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

天然コケッコー(2007年/日本)

事から帰ってきても眠れない。
HDDに撮ったままだったこの作品を何となく観始めて、結局最後まで見てしまった。
中学生時代に戻りたいなんて二度と思わないけど、中学生のきらきらに圧倒されてしまった。

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声が低くてぼそぼそ喋る夏帆が好演。
顔は可愛くてもダサさが抜けなくて、本当に田舎の中学生。
だけど、はっとするような表情を時折見せることがあって、どんどん彼女から目が離せなくなる。
お祭りの夜の、気持ちがぐんぐん不安定になった時の泣き顔は必見。
祭りのあかりに照らされて、声も上げずに涙を流す彼女に圧倒された。
あのうまく説明できない気持ち、その感情があふれた瞬間を、作品の中に放り込んだ制作側もすごいし、演じた夏帆もすごい。
かつて女の子だった私も、あの感情を通り過ぎた。共感しちゃって、こっちも涙がこぼれそうになっちゃったよ。

そして、夏帆以外にも同じ分校に通う子供たち、お父さんお母さん、そしてボーイフレンドの大沢くんが、そよの周りをうろうろして、いい味出してる。
大沢くんは、見てるこっちがびっくりするくらいドライであきれちゃう。
でも不思議と魅力的な男の子。
こちらは岡田君が演じてて、彼の演技も透き通るみたいですごくいい。

岩井俊二監督の「リリィ・シュシュのすべて」とは対極にあるような作品だけど、「天然コケッコー」のほうがより私の心をつかんだのは、年齢を重ねたからではないよ。
そよちゃんが送ったような日常を自分も知っているからこそ、この作品をかけがえなく尊く思える。

天然コケッコー Blu-ray スペシャル・エディション

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天然コケッコー
2007年/日本
監督:山下敦弘
脚本:渡辺あや
出演:夏帆岡田将生