コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

カブールの燕たち | ヤスミナ・カドラ(早川書房)

アフガニスタン・カブールで生きるということ。
この作品はタリバンが支配していた時代の様子を肌で感じることができる。
そんなに厚くない本だから一気に読んだ。
追い詰められたときには、男よりも女が強い。

カブールの燕たち (ハヤカワepi ブック・プラネット)

カブールの燕たち (ハヤカワepi ブック・プラネット)


タリバン政権が支配していた時代はここまで過酷だったのかと思う。
希望も喜びもない中、絶望も枯れた先に見えるものは。
日々どこかで公開処刑が行われ、男と女が並んで歩くことは許されず(例え夫婦であっても)、女性は外では必ずブルカをかぶらなければならない。
この不条理を疑いようにも、どこに立ち向かっていけばいいのかさえ見えない。

彼にとってもほかのみんなにとっても、死は月並みなことでしかない。そもそも、何もかもが月並みなのだ。処刑のほかにはもはや何もない。ムラ-は処刑によって粛清を行い、生き残った者たちは元気になっていく。カブールはあの世の控えの間になった。


9.11からもう15年が経とうとしている。アフガニスタンは今どうなっているんだろう。
自分の生きている世界から圧倒的に遠くにあったけど、この作品を読んでしまったら心象距離は縮まって、カブールは未知の世界ではなくなってしまった。