コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

100歳から始まる人生

二週間くらい前にみたこのドキュメンタリーがまだ私の胸の中をざわつかせる。

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このドキュメンタリーの主役、ダグニーは90歳を過ぎてからパソコンを購入し、ブログを始めたのは100歳のとき。ブログに載せる写真にもこだわりがあり、フォロワー数は50万人を突破した。話題の人ということでダグニーはテレビにも出る。
ダグニーの活動はブログだけにとどまらない。「死ぬまでにもう一度ダンスをしたい」と出会い系サイトで男探しをする姿は真剣そのもの。
このドキュメンタリーが撮影された101歳時点で、少し年下のお年寄りたちに市民講座でパソコンも教えている。

100歳を過ぎてもアグレッシブな姿に惹かれた訳じゃない。実際、ダウニーは元気いっぱいというよりは、マイペースでのほほんとした人柄。
私が強烈に印象に残ったのは、100歳を過ぎても過去の悲しい思い出は消えないということ。自分へのコンプレックスも消えないということ。恋する瞬間のドキドキは色あせないということ。

ダウニーは今も子供時代の母との切ない思い出や、一人目の旦那との結婚生活を昨日のことのように覚えている。そんな過去も抱きしめて生きている。 「私が綺麗だったことはない」と鏡を見ながらつぶやく姿や、恋が始まりそうなときの表情は、少女そのもの。89歳のボーイフレンドとは出会ってすぐにメールアドレスを渡すけど、彼はパソコンができないから返事は来ない。代わりに来たのは電話。はじめてのデートはダグニーの家で。89歳と101歳がモシャモシャとケーキを食べる姿は尊いと思った。恋する気持ちはいくつになっても変わらない。

ダグニーを突き動かしてるのは、尽きない好奇心と天性の素直さ、そして寂しさだと思う。肉体は衰えるけど、精神は衰えない。 いくつになろうが悲しさや寂しさからは解き放たれない。それでも自分次第で新しい世界にチャレンジし続けることができる。そう思えたドキュメンタリーだった。