コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

学校(1993年/日本)

先日BSプレミアムでの放送があったので、久しぶりに本作品を見た。たぶん10年ぶりくらい。トータルで言えば、もう4,5回は見てるんだけど見るたびに違う感情が沸き上がる。

1993年公開作品なので撮影はたぶん1992年。まず飛び込んでくるのは、25年以上前の東京の風景で、「ああ、こんなに古かったんだなぁ」というのが私の今回見た感想。
もともと下町が舞台だから商店街のカットが多いんだけど、当時はチェーン店とか今より少ないから原色的な看板は少なくて、町の色が全体的に茶色っぽい。懐かしいというよりも、自分がその時代に存在してたことが信じられないくらい、もうすっかり忘れている風景だった。 個人的には映画の中の町並みのほうが好きだ。

登場人物やそれを演じた役者たちもよかった。「荻原聖人と裕木奈江がいいな」と思うのはいつものことなんだけど、今回は田中邦衛もいいと思った。演技が、っていうより存在が。今はもう田中邦衛が演じたイノさんみたいな役ってドラマにも映画にもいなくって(現実にはまだこんな人いるけど、エンタメの世界からどんどん不可視化されてる気がする)、田中邦衛みたいな役者の需要はもうほぼないのでは。
そういう意味で言うと、在日韓国人のオモニや残留孤児の張さんなどは、最近の映像作品には乗ってこないキャラクター。脳性麻痺を抱えたオサムもそう。少しステレオタイプな描かれ方をしているようにも見えたけど、夜間中学という舞台の特性もあって、登場人物たちのキャラクターに幅があった。

はじめて見たのはそれこそ公開当時の1993年で私はまだ小学生だったけれど、時を経て見返してみると、作品の本筋とは別の方向に自分の色んな思いが飛んでしまった。だいぶ遠くに来てしまった、という思いでこの作品を見ていた。


学校(予告)

学校

学校