コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

河童が覗いたヨーロッパ | 妹尾河童(新潮文庫)

河童氏がヨーロッパを旅したのは、1970年代半ば。
ロシアはまだソ連だったし、ドイツは東と西に分かれていた時代。 ホテルの間取図が延々と続く不思議な旅行記。

河童が覗いたヨーロッパ (新潮文庫)

河童が覗いたヨーロッパ (新潮文庫)

イラストのうまさは言わずもがなだけれど、ホテルの間取りからビデの有無や窓の大きさを観察し、土地・風土の違いを確かめる。周遊したからこそ気づける、ホテルから見えるヨーロッパ。面白い。

私はヨーロッパじゃなくて、フランス真ん中から北側の東と西を半年間行ったり来たりしただけだけど、驚いたのは泊まった安宿の部屋がみな全く違う間取りだったこと。
たぶん、自分は経験できなかったけど、高級なホテルもみなそうなんじゃないかな。
日本のビジネスホテルや旅館のように、ヨーロッパのホテルには部屋の定型がないみたい。

ホテルには、シャワーとベッドがあればいい。
でも、部屋の形状や、家具の配置の仕方、壁紙やじゅうたんの色、扉の位置など、ホテルの数ほど個性がある。
そこに驚く。河童氏がスケッチしたくなる気持ちはわかる。

この間取図を眺めながら、自分がフランスを旅した時代を思い返した。
ただ、ひたすらに懐かしい。
後ろの人のために扉をあけておく習慣や、電車が発車するときのアナウンスがなかったり、自分も「あっ」と思ったヨーロッパの文化に、河童氏が言及しているのがまた嬉しい。

フランスにまた必ず降り立つ!と思って、日本に帰ってきて10年。
フランスに行く目途は、まだ立ってないや。