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コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

男はつらいよ(1969年/日本)

男はつらいよ」をはじめて観て、誰もが知ってる「寅さん」をはじめて体感した。

序盤、寅さんの田舎者丸出しのインチキ臭い、すさまじい低俗さ・図々しさに目を覆いたくなる。
でも次第に、愛嬌のある笑顔と暑苦しいまでの人情臭さ、豪快さと裏腹な小心物の顔も持つこの男に愛着を持ち始めるから不思議だ。なんなんだ、この男は。

松竹 寅さんシリーズ 男はつらいよ [DVD]

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さくらの結婚式での記念撮影の場面。
寅さんが満面の笑顔で「ばたー!」と言って笑った瞬間、彼のことが好きになった。
おもても裏もないこの男の魅力が分かった瞬間だった。

男はつらいよ」はどこにでも転がってそうなエピソードばかりで、話は単純なのにとても面白かった。
なぜだろう。
それは登場人物の魅力、それを伝える役者・撮影者たちの心意気、パワーから来るものだと思う。
一作目ですでに登場人物のキャラクターは確立している。そして、みんな元気いっぱい。
この映画は人間たちの顔を横長の画面いっぱいに映し、出てくる役者たちからにじみ出る迫力を逃さないので、彼らの感情や緊張感がダイレクトに伝わってくる。
観てるこっちの気持ちも映画の中に飛んでいき、傍観者として映画の中にいるような気持ちになる。

写真を撮るときに「ばたー」とポーズを撮る御前様が忘れられない。
前田吟演じる博がさくらに思いを伝える瞬間の横顔が忘れられない。
上野駅でしげるを追いやった後、泣きながらうどんをすする寅さんの姿が忘れられない。
こういう場面が多くあるから、何作も続けられたんだろうなぁ。

男はつらいよ」は「三丁目の夕日」と同じ時代設定かと思いきや、何と「男はつらいよ」のほうが10年ほど先の時代設定。
おもひでぽろぽろ」の妙子の小学生時代と同じくらいかもしれない。
上野駅は恐ろしいほどに古いし、映し出される家々や道を行き交う車も確かに時代を感じるが、人々の姿かたちは現代よりさほど古いとも思わない。
でも、今の時代に「寅さん」は流行らないだろうな。
異物過ぎるかもしれない。

現代の寅さんはパリにいる。ギアはスマートだね。

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男はつらいよ
1969年/日本
監督:山田洋次
脚本:山田洋次森崎東
出演:渥美清倍賞千恵子前田吟笠智衆光本幸子