モンドヴィーノ(2004年/フランス・アメリカ)
「モンドヴィーノ」を観ると、無性にワインが飲みたくなる。
ワインに求めるものは何のか、消費者としての立ち位置も問いただされた感じ。
グローバリゼーションの波がワイン業界を覆い、歴史あるフランスワインもイタリアワインも気が付けば、大手資本の傘下にて同一化が進む。違うのはラベルだけ。
ワインは死んだ。
伝統を重んじるワイン農家は言う。
しかし、昔ながらの土地味<テロワール>を求め、こだわる生産者もいる。
伝統を求めるか、世界へ販路を広げるかの二者にも共通点はある。
どちらもワインを愛してる。自分にはそう思えた。
しかし、皮肉かな。
映画の終盤、南米の痩せた土地でブドウを育てる農家が登場する。
彼が生活の糧に作っているワインは黄金色。
ワインの薫りに、この映画の監督も思わずため息を漏らす。
作っている彼にワインに対するこだわりはない。
遠い昔、自分たちの祖先がスペイン人に土地を追われたことに対する怒りだけがある。
教育がないからね。
こぼす言葉は切ない。
しかし南米の片隅に、ひっそりとワインの希望がある。
手持ちカメラのため、画面がぐらぐら揺れる。
インタビュー中も、対象者を突然超アップにするので、画面に酔いそうだった。
でも、各人へのインタビューは見ごたえがある。
ワインを評価するのは結局人。公平な評価、とは言い難い本音ざらしの声がボロボロ出てくるのが面白かった。
そのとき飲んだワインが美味しいと思えれば、それで幸せ。
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モンドヴィーノ
2004年/フランス・アメリカ
原題:mondovino
監督・撮影・編集:ジョナサン・ノシター