米原万里の「愛の法則」 | 米原万里(集英社新書)
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を読了後、さっそくこの本を手に取る。
彼女の講演をまとめたもの。
話し言葉の彼女を感じたくて、一気に読んだ。
- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/08/17
- メディア: 新書
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タイトルが「愛の法則」だから、全編恋愛絡みかと思えばそうでもなく。もう少し別のタイトルが良かったような。
私が一番面白かったのは、第三章の「理解と誤解のあいだ」と第四章の「通訳と翻訳の違い」。
同時通訳という神業的な仕事の裏側が見えて面白い。
外国語を理解し、日常会話ができるだけでは務まらず、必要なのは外国語・日本語ともに大量の語彙と、瞬発的にそれらを互換する能力。
では、どのような勉強法が必要かというと、とにかく多読することだという。
小説を楽しめる語学力があれば通訳になれる
フランスに語学留学したけど、フランス語で小説読んでない。読めるほどの語学力もない。
絵本だけでも乱読すればよかった・・・。本が面白いのは知ってるのに、めんどくさくて無精をしてる。
せっかく少し覚えたフランス語がいま灯のような有様なのは、生きた言葉を手に入れる努力を怠ったからだと思うんだ。
彼女が通訳になれた背景には、興味あるものへコンタクトをとる努力を惜しまなかったことだと思う。
ロシア語をあえて勉強することはしなかった。
でも、本が好きだからロシア語の本は読み続けた。
日本語を知りたくて、日本の古典も読み続けた。
すると日本の古典も面白かった。(そもそも読書が好きになったのは、セックスへの関心。そしてそれは成熟を増し、第一章の「愛の法則」で披露される。)
そこに集約されてる気がする。
ロシアでの国語教育も興味深い。
教師は生徒に教科書を音読させた後、その部分の要約をさせる。図書館で本を借りれば、返す際、司書さんはその本の主旨を答えさせる。こうすることで、ただ流す読書ではなく、攻撃的で立体的な読書ができるようになるという。また、作文を書く際も、まずは構造から学ばせる。
何を学ぶか、が明確だからできる目からウロコの国語教育!
ひとつのテーマを語るときに引き出しから出される素材は豊富だ。
さぞ、会話をするときも話題が豊富な人だったろう。
インタビュー集とか、映像素材がもっとネットに落ちてればいいのに。
散文的になってしまってロシア流としては失格だわ、この文章。