コーヒー3杯

紙の日記が苦手だから。

本魂

和菓子のアン | 坂木司(光文社文庫)

いまの私は…、いまの私は…、餡子に飢えている。 この表紙にそそられて、サクサクと読んでしまった。 和菓子のアン (光文社文庫)作者: 坂木司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2012/10/11メディア: 文庫 クリック: 12回この商品を含むブログ (46件) を見る ジ…

明日泣く | 色川武大(講談社文庫)

全体的に切なさと一緒に爽やかな明るさがあって、ああ昭和だなと思う。 昭和の終わりころのバブル崩壊前後の小説やドラマとかって、妙な明るさがあっていいなとよく思う。 追い込まれたひっ迫感がない。完全終了の残酷さもない。 明日泣く (講談社文庫)作者:…

光と音失った女子大生の記録

以前TBSのドキュメンタリーを見てから気になっていた、聴覚と視覚を失った女性の近況が朝日新聞に載っていた。 本を出したようだ。 手のひらから広がる未来 ヘレン・ケラーになった女子大生作者: 荒美有紀出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2015/03/26メ…

黄金の夢の歌 | 津島佑子(講談社)

津島佑子って太宰治の娘なのか。読了するまで知らなかった。 マナスの歌に導かれるように、キルギスと中国の内モンゴル自治区を旅したひと夏の記憶。 大陸に刻まれた歴史の重みに圧倒されながらも、自分の胸を強く打ったのは、著者が時折垣間見せる遠い日の…

新版 放浪記 | 林芙美子(kindle)

林芙美子の「放浪記」、なかなか手に取らずに来たけれど、やっと手に取るや、はじめの1ページ目からグイグイと引き込まれ、一気に読んだ。 その日の金勘定もままならないほどに困窮した生活の中、食べ物と金を求めて、次々に職を変え、住処を変える芙美子。 …

秋山晶のコピー

時々、という頻度でもなく、数年に一度、無性に秋山晶のキューピーマヨネーズのコピーを読みたくなる時がある。彼の作品集が手元にあればよいのだけれど、ない。 特にアメリカ編。 もう15年以上前、90年代後半の「non-no」にキューピーマヨネーズ・アメリカ…

ちびまる子ちゃん | さくらももこ(集英社)

何年ぶりか覚えてないくらい、久しぶりに「ちびまる子ちゃん」を読んだ。 ちびまる子ちゃん (1) (りぼんマスコットコミックス (413))作者: さくらももこ出版社/メーカー: 集英社発売日: 1987/07メディア: コミック クリック: 34回この商品を含むブログ (70件…

グッド・バイ | 太宰治(Kindle)

iPadに「kindle」アプリをインストールした。 何も読む予定はなくて、単純な「Kindle」への興味本位で。 でも、インストールした後に読むデータを何も購入していないことに気付いた。あわてて無料本を検索して、太宰治の「グッド・バイ」をダウンロードして…

貧乏人の経済学(みすず書房)

「本当にそれは正しいの?」「もう少し考えてみない?」 客観的に現状を見つめる視座を与えてくれる、最近の中では群を抜いて読んで良かった一冊。 これまで本書のような視点による論が出回らなかったことが不思議。 貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を…

かもめ食堂 | 群ようこ(幻冬舎文庫)

映画作品の「かもめ食堂」は、公開当時に恵比寿ガーデンシネマまで観に行った。 当時、私23歳。社会人としてスタートを切ったばかり。 映画を観終えると悶々としてしまい、すぐに家に帰った記憶がある。 中年女性が異国で浮遊している姿に実はほとんど共感…

サンダルで歩いたアフリカ大陸 | 高尾具成(岩波書店)

毎日新聞記者である高尾具成さんによるアフリカのルポ。 著者は2008年から2012年にかけて、毎日新聞社のアフリカ特派員だった。 率直に言うと、元朝日新聞社の松本仁一さん、毎日新聞社の白戸圭一さんに比べると、何とも大味で物足りない。 あとがきで別の方…

アフリカ・レポート | 松本仁一(岩波新書)

元朝日新聞の松本記者が書いた、アフリカ報告。 2007~2008年の記録なのでチョイ古い。でも内容は面白かった。 アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)作者: 松本仁一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/08/20メディア: 新書購入: 25人 ク…

アメリカの20世紀 | 有賀夏紀(中公新書)

いつ買ったのか忘れたような本を、一体これを読んで何になるのかと、何度も自問自答しながら読了。 アメリカの20世紀〈上〉1890年~1945年 (中公新書)作者: 有賀夏紀出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2002/10メディア: 新書購入: 3人 クリック: 37回この…

こんな夜更けにバナナかよ | 渡辺一史(文春文庫)

あゆみBOOKSの文庫本売り場の目立つところに、高く積まれてPOPまで立ててあったこの本。 タイトルに惹かれて何となく手に取り、面白くて一気に読み終えた。 筋ジス患者の鹿野靖明氏を巡る「ボランティアたち」を追ったドキュメンタリー。 鹿野氏を主体として…

河童が覗いたインド | 妹尾河童(新潮文庫)

最近手に取ったインド本の中では、一押し!! 河童が覗いたインド (新潮文庫)作者: 妹尾河童出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1991/03/27メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 112回この商品を含むブログ (66件) を見る ページいっぱいにびっしりと文字とイラス…

はるか戦火を逃れて | 中屋敷郁子(講談社)

今さらなんだけど「戦争広告代理店」を読んで、久しぶりにユーゴ紛争へ関心が向いた。 ボスニアとサラエボ、どっちが国名でどっちが都市名かわからなくなるような体たらくなんだけど、あのときのニュース映像を思い出すと脊髄反射的に思い出すのは、ユーゴ紛…

河童が覗いたヨーロッパ | 妹尾河童(新潮文庫)

河童氏がヨーロッパを旅したのは、1970年代半ば。 ロシアはまだソ連だったし、ドイツは東と西に分かれていた時代。 ホテルの間取図が延々と続く不思議な旅行記。 河童が覗いたヨーロッパ (新潮文庫)作者: 妹尾河童出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1983/07/27…

終生ヒトのオスは飼わず | 米原万里(文春文庫)

この人の著作をこの2~3か月余りで、バババババと読んだのだけれど、この作品は80年代90年代のエッセイと違い、死後刊行された本なので、ほかのエッセイ群と趣が少し異なる。 終生ヒトのオスは飼わず (文春文庫)作者: 米原万里出版社/メーカー: 文藝春秋発売…

祭りの場・ギヤマン ビードロ | 林京子(講談社文芸文庫)

自分にとって原爆と言えば広島が圧倒的で、長崎のイメージがほとんどないのだけれど、昔の新聞記事で何となく覚えていた名前の作家の作品を手に取って、読み始めると夢中になったのだった。 祭りの場・ギヤマン ビードロ (講談社文芸文庫)作者: 林京子,川西…

ニューヨークでがんと生きる | 千葉敦子(文春文庫)

ニューヨークは今も多くの人にとって、魅力的な場所なのかな。 この本は、このニューヨークに長年憧れてきたフリージャーナリストの著者が、1980年代前半に40にして単身移住してからの2年余りの記録。 乳がんを患っていたことから、大半はニューヨークでの闘…

アメリカ居すわり一人旅 | 群よう子(角川文庫)

群ようこの著作は2作目、10年以上ぶり。 「アメリカ」のタイトルだけで手に取って、非常に面白く読んだ。 アメリカ居すわり一人旅 (角川文庫)作者: 群ようこ出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1991/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件…

インド旅行記〈1〉北インド編 | 中谷美紀(幻冬舎文庫)

中谷美紀じゃなくて、インドに惹かれて、BOOK-OFFで手に取った。 表紙の青空がきれい。 インド旅行記〈1〉北インド編 (幻冬舎文庫)作者: 中谷美紀出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2006/08メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 83回この商品を含むブログ (136件…

アメリカン・コミュニティ 国家と個人が交差する場所 | 渡辺靖(新潮選書)

アメリカは不思議な国だ。超合理的な面と超保守天気な面を持つ。 私はまだ一度もアメリカに行ったことがないんだけれど、外側から眺めていると一様じゃなくて掴みどころのない国だとつくづく思う。 文化人類学者の渡辺靖氏がアメリカの9つのコミュニティを訪…

オリガ・モリソヴナの反語法 | 米原万里(集英社)

ただいま絶賛米原万里ホリックにかかっている私。 「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」で描かれた、米原女史のチェコ時代に着想を得ているこの作品、読まぬわけにはいかぬ。 1960年代にチェコ・プラハで、志摩が通っていたソビエト学校には、謎の教師オリガ・…

米原万里の「愛の法則」 | 米原万里(集英社新書)

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を読了後、さっそくこの本を手に取る。 彼女の講演をまとめたもの。 話し言葉の彼女を感じたくて、一気に読んだ。 米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)作者: 米原万里出版社/メーカー: 集英社発売日: 2007/08/17メデ…

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 | 米原万里(角川書店)

米原万里、という人をはじめて知ったのは、数年前の彼女の訃報によって。 長い間手に取らず来てしまった本をようやく。 いろんな人に長年語り継がれるだけあって、いやー面白かった!! 嘘つきアーニャの真っ赤な真実作者: 米原万里出版社/メーカー: KADOKAW…

ロング・グッド・バイ | レイモンド・チャンドラー(早川書房)

「ロング・グッド・バイ」= 「長いお別れ」。 村上春樹にハマった高校時代に読んだ作品群のなかに、この本の名前があった気がする。 てか、彼の大好きな作品の一つだったはず。 ロング・グッドバイ作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹出版社/メーカー:…

停電の夜に | ジュンパ・ラヒリ(新潮クレスト・ブックス)

突然、前ぶれもなく私がインドに心を奪われたのは、今年に入ってから。 理由はない。 GWを利用して、久しぶりの海外一人旅inインドを計画してたけど頓挫し、結局あきらめた。 赤レンガ倉庫で開催してたイベント「ホーリー イン 横浜」も行かなかったな。 …

サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領 | 国末憲人(新潮選書)

ニコラ・サルコジ、といえば今はカーラ・ブルーニの旦那。前職は第5共和政第6代フランス大統領。 ドイツのメルケル首相と二人でギリシア危機に立ち向かう姿を「メルコジ」と世界ではやされたのも今は昔。昨年の大統領選で現職のオランドに負けた。 この男…

アムステルダム | イアンマキューアン(新潮クレストブックス)

中年男二人。濃密な友情の行きつく先は。 アムステルダム 新潮クレストブックス作者: イアンマキューアン,Ian McEwan,小山太一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1999/05メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (17件) を見る 1999年の小説。 名…